第34回有馬記念【野武士、天下をとる】

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―オグリキャップの執念、スーパークリークの栄光、そしてイナリワンの奇跡―

目次

第1章:グランプリの幕開け – 二強対決の予感

1989年の競馬界は、まさに「オグリキャップの年」であった。地方競馬から中央競馬に転入し、GI戦線で大活躍。ファン投票では史上最多の19万7682票を集め、圧倒的な支持を受けていた。一方、そのオグリキャップを破り、天皇賞・秋を制したのがスーパークリーク。前年の菊花賞馬でもあり、名実ともにトップホースの一頭であった。二頭の激突は、競馬ファンの期待を一身に集めることとなった。

「オグリとスーパークリークの戦いが注目される中で、もう一頭の伏兵がいた。それがイナリワンだった」と語る関係者も多い。春の天皇賞を制した実力馬でありながら、秋は不振。しかし、その実力を疑う者はいなかった。

アワアワ

この年の有馬記念って、オグリキャップとスーパークリークの対決が話題になってたんだよね?

デク

そうだな。ファン投票の結果を見ても分かる通り、オグリキャップは断トツの人気だった。スーパークリークも天皇賞・秋を勝って評価が高かったから、この二頭の一騎打ちだと思われていたんだ。

アワアワ

イナリワンの評価はどうだったの?

デク

春の天皇賞を勝った実績はあったが、秋は不振だったからな。天皇賞・秋6着、ジャパンカップ11着で、完全に人気薄だった。だが、調子の良さを見抜いていた関係者もいたようだ。

第2章:レース前の不安 – オグリキャップの疲労

オグリキャップはこの年、9月から怒涛のローテーションをこなしていた。毎日王冠、天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、そして有馬記念。この短期間に5戦という厳しいスケジュールは、どんな名馬にも過酷だった。しかし、オグリキャップはファンの期待に応えるため、戦い続けた。

関係者の一部は「オグリキャップは疲れている」と感じていた。実際、パドックで見た元調教師の鷲見昌勇氏は、「オグリは疲れ切っていた」と語っている。一方、イナリワンは絶好調で、誰よりも状態が良いと判断されていた。

アワアワ

そんなに過酷なローテだったの!? 5戦も走ってたなんて…

デク

そうだ。特にジャパンカップではホーリックスと歴史的な大激戦を演じた後だった。疲労が溜まっていたのは明らかだったんだ。

アワアワ

それでも1番人気だったんだね。

デク

ああ。それだけオグリキャップがファンに愛されていたということだな。

第3章:レース展開 – 勝利を掴みかけたスーパークリーク

ゲートが開くと、ダイナカーペンターが先手を奪い、オグリキャップが積極的に2番手を追走した。スーパークリークは4番手の好位置。誰もが「このまま二強の一騎打ちになる」と考えていた。

第4コーナーでオグリキャップが先頭に立つ。しかし、直後にスーパークリークが交わし、一気に抜け出す。この瞬間、武豊は勝利を確信していた。

だが、直線に入り、突如として後方から一頭の馬が猛烈な脚で迫ってきた――イナリワンだった。

アワアワ

スーパークリーク、勝ったと思われてたんだね

デク

あの時点では、完全にスーパークリークの勝ちパターンだった。オグリキャップは失速してしまったからな。

アワアワ

そこにイナリワンが…!

デク

そうだ。残り100mで一気に差し切った。まさに劇的な逆転劇だったな。

第4章:イナリワンの勝因 – 驚異の末脚

イナリワンが優勝できた理由は、その圧倒的な末脚にあった。このレースでは、シンボリルドルフのレースレコードを1.1秒も更新する驚異的な走りを見せた。実際、イナリワンの調子が抜群だったことも勝因の一つである。

アワアワ

イナリワンってそんなに速かったんだ!

デク

そうだ。元々追い込み型の馬だったが、この時の末脚は凄まじかった。春秋グランプリ連覇を果たしたのも納得の強さだったな。

第5章:レース後のドラマ – 武豊の勘違い

ゴール直後、スーパークリークの武豊は「オグリキャップが差し返してきたのかと思った」と語っている。あまりに強烈な末脚だったため、オグリキャップと勘違いしたのだ。

また、オグリキャップの陣営もレース後に「やはり疲労が溜まっていた」と認めるコメントをしている。

アワアワ

武豊騎手、そんなこと言ってたの?

デク

ああ。それだけイナリワンの末脚が凄かったということだな。

第6章:1989年有馬記念が残したもの

このレースは、「二強対決」と思われていた構図を覆し、イナリワンの大逆転劇という形で幕を閉じた。そして、翌年1990年の有馬記念では、オグリキャップが奇跡の復活を遂げることになる。

デク

オグリキャップの最終章については、以下の記事で詳しく紹介しているぞ。

「1989年有馬記念」は、ただのレースではなく、競馬史に刻まれるドラマであった。

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