「人気の1倍台なんだから来て当然でしょ?」—そう思いたくなるところですが、実際の成績には“芝とダートの微差”が隠れています。
今日は過去10年、8頭以上のレースに絞った単勝1倍台の着別度数から、実戦に活かせる示唆を読み解いていきます。
複勝転がし派の方にも、買い目の組み立てに役立つ“基準線”を用意しました。
データの前提と素の分布

芝:1715-705-359-246-128-312(総数3465)
ダート:1805-744-415-199-145-348(総数3656)
並びは〔1着-2着-3着-4着-5着-着外〕です。
このままだと“手触り”がつかみにくいので、率に直して全体像を掴みます(小数点2桁、以下同様)。
芝(総数3465)
勝率49.49%/連対率69.84%/複勝率80.20%
4着率7.10%/5着率3.69%/着外率9.00%
ダート(総数3656)
勝率49.37%/連対率69.72%/複勝率81.07%
4着率5.44%/5着率3.97%/着外率9.52%
どちらが“堅い”?結論は「ダートがわずかに堅い」

複勝率に注目すると、芝80.20%に対してダート81.07%。差は+0.87ポイント。取りこぼし(複勝圏外)は芝19.80%に対してダート18.93%で、ダートの方が“落としにくい”という結果です。
勝率・連対率はほぼ同等ですが、複勝率で吸収力が少しだけ高い。
したがって、「単勝1倍台=とにかく複勝で拾う」という運用では、ダートがわずかに有利と言えます。
細部を見ると、芝は4着率が7.10%とダート(5.44%)より高く、「届かず4着」の絵がやや出やすい一方で、ダートは着外率が9.52%と芝(9.00%)よりわずかに高く、“崩れるときはしっかり崩れる”印象。
総じては「ダートは3着以内に踏みとどまる力がわずかに強い」という読みが妥当でしょう。
“勝ち切り性能”はどうか(単勝派の視点)
3着以内に入ったときに何着を引いてくるか、構成比を見ます。
・芝の3着内構成:1着61.71%/2着25.37%/3着12.92%
・ダートの3着内構成:1着60.90%/2着25.10%/3着14.00%
差は小さいですが、ダートは“3着寄り”がわずかに増え、芝は“1着寄り”がわずかに強い。
単勝一点で押すなら芝の方が気持ち背中を押しやすく、保険を効かせたい(ワイド・馬連・複勝)ならダートの安心感がほんの少し上、という解釈ができます。
複勝転がしの“体感確率”
複勝転がしは成功確率が累乗で減っていきます。
単発の複勝率をpとして、n回転がす成功率は p^n です。
・芝(p=0.8020)
3連:51.59%/5連:33.18%/10連:11.01%
・ダート(p=0.8107)
3連:53.29%/5連:35.02%/10連:12.27%
単発では0.87ポイントしか違わなくても、10連になると芝11.01%に対してダート12.27%。相対的に約+11%の成功確率差に“膨らむ”のが累乗の怖さ(ありがたさ)です。長い旅程の複コロほど、ダート優先の戦略がじわり効いてきます。
取りこぼしの形を想像しておく(レース前の点検項目)
数字は語ります。芝は4着が多い=上がりの質や位置取りひとつで“届かず”が発生しやすい。
ダートは着外がやや多い=発馬・砂被り・行き切れずの“形崩れ”が起きると巻き返しにくい。
これをレース前の点検表に落としましょう。
芝の点検
・上がりが問われる馬場か(直線の長いコース、内外差)
・人気馬の脚質と隊列予測(差しor追い込みで包まれリスクは?)
・枠順とコーナーワーク(内で詰まる、外でロス…届かず4着の典型)
ダートの点検
・スタートの安定性(テンの速さ、出遅れ癖)
・砂を嫌うタイプか(揉まれ弱さ/外目でノンストレスに運べるか)
・同型の圧力(行き切れないと凡走に直結しやすい)
買い方の工夫(実戦レシピ)
複勝の“基礎配合” 長めの複コロを志向するならダート寄せ。
芝の1倍台は、展開の不確実性が増すとき(多頭数・差し集中・極端な外枠)には一段階リスクを下げる意識を。
ダートの1倍台は、発馬と位置の担保が取れるなら積極採用。
単勝・馬単の“強気配分” 芝は勝ち切り構成比がわずかに高い。
頭固定の妙味があると読めたら、馬単マルチより「頭固定+2・3着手広め」の方が期待値を作りやすい場面も。
ダートは“3着寄り”が気持ち強いので、堅い相手がいれば馬連・ワイド厚めで回収の安定感を優先。
リスク分散の“場所替え” 同一開催で芝とダートが混在するとき、難解な芝メインに固執せず、同オッズ帯ならダートの複勝に“場所替え”するだけで、長期の破綻リスクを微減できます(先の複コロ成功率差が根拠)。
よくある誤解をほどくミニ講義

Q. 芝とダートで勝率がほぼ同じなら、どっちでも同じ?
A. “同じ”ではありません。複勝率の0.87pt差は単発だと小さく見えますが、複コロでは累乗で効いてきます。10連での成功率は芝11.01%に対しダート12.27%。「微差は大差」になり得ます。
Q. 芝は4着が多いなら、差し馬は全部嫌えばいい?
A. 極論は禁物です。差し馬でも“ロスの少ない進路確保”が見込める配置・相手関係なら問題ありません。むしろ人気馬が先行で揉まれるより、差しでスムーズな方が安全なケースもあります。数字は傾向、最終判断は“今回の配置”です。
今日から使えるチェックリスト
・単勝1倍台を複勝で拾うなら、まずはダートから検討
・芝の1倍台で不安なら「差し集中」「外枠ロス」「内で詰まり」を具体的に想像
・ダートの1倍台は“出遅れ・行き切れず・砂被り”を事前に洗い出す
・複コロは回数が伸びるほど“ダート寄せ”で成功率が底上げ
・単勝で攻めるなら、芝の“勝ち切り構成”に一目置く
まとめ:微差の積み上げが、年単位の差になる
今回の単勝1倍台データは、芝とダートの“わずかな性格差”を教えてくれました。
・複勝率:芝80.20%/ダート81.07% → ダートがわずかに堅い
・勝ち切り構成:芝は1着寄りがわずかに強い → 単勝で背中を押せる場面あり
・取りこぼしの形:芝は“届かず4着”が気持ち多い、ダートは“崩れるときは崩れる”
馬券は「小さな有利を積む競技」です。レースごとに展開・枠・馬場を丁寧に点検しつつ、この“微差”を味方にしてください。複勝転がし派はダートを基軸に、単勝・馬連・ワイドの配合でリスクとリターンの角度を調整する。たったそれだけで、月末・四半期・年単位の損益曲線は静かに変わっていきます。
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